IT資産管理プロセス自動化ツールの要件まとめサイト

IT資産管理の自動化ツールの要件を考えるには、まず最初に「IT資産管理の目的」や「目的を実現するための管理プロセス」が必要となる。

IBPL (IT資産管理ベストプラクティス)や一般的なIT資産管理の目的として言われているのは、

① ガバナンスの向上
リスクのコントロール、リスクの低減、コンプライアンス違反による外部監査による請求で発生する想定外のコスト支出、
ソフトウェアの脆弱性に起因するセキュリティリスクなど含む

② コストの最適化
無駄を省く、IT資産のスリム化、重複資産や遊休資産をプール化して稼働率を上げる。ソフトウェア契約の分散による余剰資産の発生や、複雑化するライセンス利用規約に起因する不要な支払いの発生防止

③ コンプライアンス遵守
契約書の条項に違反するなどコンプライアンス違反による社会的信用の失墜を防ぐ

ますます複雑化するIT資産をスリム化し、コントロールできるようにしておかなければ、デジタル化で要求されるIT活用をタイムリーにユーザー事業部門が行うためのIT部門としての活動が困難になるために、IT資産をコントロールすることが重要だ、と言われています。

対象は、クライアント環境のパソコンやモバイルデバイスからデータセンターのサーバー、そしてこれらのハードウェア上で利用される社内で保有するソフトウェアや、クラウドサービスで利用する社外のプラットフォームや、SaaSなどエンドツーエンドのユーザーに提供されるITサービスの全てを網羅する必要があります。

IT資産管理と一言で言っても非常に広範囲で複雑な処理が、様々な部門や担当者によって実施されていることが容易に想像できます。

残念ながら、今までのITの運用ツールのように要件定義をして、ツールベンダーを数社呼んで、ツールを選定・実装すればどうにかなるというわけではなさそうです。

これらの目的をまずは、社内で明文化し、ポリシー(規程)として組織横断的にその目的を共有できるようにすることが大切です。

さらに、IT資産に関係する業務が、現在は社内でどのように分散し、処理されているのかという「プロセスの棚卸」を行い、目的を達成するために求められる「新たなプロセス」を設計し、関係者が共有した上で、これら組織横断的なプロセスを効率的、効果的に実行できるような「IT資産管理業務プロセスの自動化ツール」を運用することが大切です。

それでは、前述の目的を実現するためにはどのようなプロセスを識別する必要があるのでしょう。

以下に簡単にプロセスの全貌を高い粒度でリストアップしてみましょう。

① 資産の標準化(資産の標準化による製品カタログ、製品マスターの利用)

② プロセスの標準化(属人的なプロセスではなく組織横断的にだれもが理解できるプロセス設計書の共有と継続的改善)

③ 調達-すでに所有している資産プールからの再利用および不足している資産を新規で購入する(資産の標準化およびリクエスト管理プロセスとの関係大。購買部門や業務部門とのプロセス摺合せ要)

④ 発注書管理- 新規の資産が環境に導入される入り口を管理。資産レコードを生成し、関係する属性情報や契約書などの関係性を管理。

⑤ 契約管理-契約の利用規約(Terms&Conditions)などを管理し、事前に管理項目(メトリクス)を洗い出し、監視システムを計画する。コンプライアンス遵守には欠かせない。また、クラウド契約などであれば終了オプション(終了時の円滑なデータ移行の担保)などを考慮する。リースやレンタルでは返却条件などを管理し、終了・返却時に円滑にペナルティが発生しないように返却する。

⑥ 資産識別管理-資産を受領する際に個体識別し、すでに発注書管理の段階で生成された資産レコードがライフサイクルを通じて利用される論理識別子との紐付処理を行う。棚卸などでが円滑に実施できるように資産に論理識別子のバーコードなどを添付、バーコードリーダーなど利用して誰でも効率的な棚卸が実施できるようにする。

⑦ 変更管理-資産に発生する変更(利用者、管理者、保有・管理部門、コストセンター、使用場所などからインストールされるソフトウェアまで)を管理し資産レコードを更新する。

⑧ 運用監視-資産に未承認の変更が行われていないかを監視する。運用環境の変更に伴いコンプライアンスの状態が維持されているかを監視する。

⑨ 資産の現状把握と投資予測の管理-現状の資産状態(標準化範囲での利用やソフトウェアのサポートなどから廃棄予定までのカウントダウンなど)や今後のニーズや技術トレンドから予測される投資計画の策定。

このようなプロセスをより具体的なプロセスに分解していくと数十、あるいは100を超えるプロセスが用意できます。

これらのプロセスを定義・設計し設計書におとし、ワークフローに落として、より具体的なプロセスの自動化要件を固めていくことが可能となります。

このコミュニティでは、これらの具体的なプロセスや注意点、自動化ツールの要件の具体的な事例を挙げて皆様の一助となるような情報提供や、意見の交換ができればと考えています。

国際IT資産管理者協会

武内 烈